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1 代表取締役とは会社の業務を執行し対外的に会社を代表する株式会社の必要的機関である(261条1項)。株式会社においては代表取締役が会社の代表権を有し代表取締役の氏名及び住所は登記事項とされている(188条2項8号)。よって本問においてはAが代表取締役である事が登記されているため代表取締役ではないCが行った行為は無権代表行為でありその行為の効果は甲会社に帰属せず甲会社は責任を負わない。しかしこのように解した場合Cに代表権があると信じて取引した善意の第三者が保護されず妥当でない。そこで商法は権利外観法理に基づき善意の第三者保護を図り取引安全を確保するために代表権を有すると認めるべき名称が付されている取締役がなした行為につき会社に責任を負わせる規定をおいている(262条)
2 262条は社長、副社長、専務取締役、常務取締役その他会社を代表する権限を有すると認めるべき名称を付された取締役の行った行為につき会社は善意の第三者に対して責任を負うことを定めている。この262条が適用されるための要件は以下の通りである。@代表権を有すると認めるべき外観の存在。A代表権を有すると認めるべき外観を会社が付与しているという会社の帰責性。B外観に対する信頼。この3要件が満たされた場合262条が適用されCのなした行為の効果は甲会社に帰属し甲会社は責任を負う事になる。
3 本問においてCは常日頃から専務取締役の肩書で行動しており代表権を有すると認めるべき外観が存在しているといえる。また常日頃から専務取締役の肩書を使用している事から外観の作出に関する会社の帰責性も認められる。さらに乙はCに代表権があると信じてCとの間を契約を締結しているためCが代表権を有していないことにつき善意である。ここで262条は第三者が善意・無重過失である事を要求している。なぜなら重過失は悪意と同視し得るし262条は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるからである。よって乙がCが代表権を有していない事につき善意・無重過失であれば甲会社は責任を負い、Cが善意のみなら甲会社は責任を負わない事になる。本問ではAが代表取締役として登記されており乙は甲会社の登記を確認していないがこれは重過失には当たらないと解する。なぜなら取引のたびに登記の確認を要求するのは煩雑であり商取引の迅速性を害するからである。よって乙はCが代表権を有していないことにつき善意・無重過失であり262条の適用要件を満たし乙とCの契約の効果は甲会社に帰属し甲会社は責任を負う。
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