このページは旧CPA-LAB ver1のコンテンツです。新CPA-LABトップページはこちら


TOP > 再現答案 > るー坊 商法
公認会計士試験に合格するための勉強法 CPA-LAB

2005年 公認会計士試験 再現答案 商法

第九問 答案用紙

(商法1問目)

ハンドルネーム

るー坊

39行)

1.代表権のないCが乙となした契約は無権代表行為であるので、本来は無効である。しかし、善意の者が取引相手を信頼してなした取引について常に無効とすると、取引の安全を損ない、円滑な商取引を害する。そこで、善意の第三者を保護するために、外観法理を規定した262条を適用して、当該契約を有効とすることはできないか、以下、検証する。

 

2.1)262条が適用されるためには、@会社を代表する権限を有するものと認むべき名称、すなわち、外観の存在と、A会社がその行為を認めていたという事実、すなわち、会社の帰責性と、B取引相手を信頼したという第三者、すなわち、第三者の善意、が必要である。

 

  2)ここで、A会社の帰責性について、会社が明示的に無権代表行為を認めていたことが必要であり、知っていながら放置していたという黙示の承諾は含まれないのかが問題となる。思うに、明示的な承諾も黙示的な承諾も、会社がその行為について悪意であることに変わらず、第三者を保護しようとする262条の趣旨からは、会社の帰責性について、黙示の承諾があればそれで足りると解釈するのが妥当である。

 

  3)また、B第三者の善意について、12条との関係が問題になる。すなわち、12条によると登     

    記事項は、登記してしまえば第三者の悪意が擬制されるということが規定されているため、代表取締役の氏名は登記事項である以上(188条2項8号)、第三者の悪意が擬制され、262条の適用要件である第三者の善意を常に満たさないことになってしまう。

    これについて、商法が、12条があるにも関わらずあえて262条を規定したことを考えると、第三者を保護するために262条は12条に優先して適用されるべきであると考える。また、そうでなく12条が優先されるとすれば262条は常に否定され、その存在意義が失われてしまう。

    よって、262条は12条に優先して適用されると解釈するのが妥当である。

 

  4)最後に、B第三者の善意について、無重過失であることは必要とされないのかが問題となる。思うに、第三者を保護しようとする262条の趣旨からは、第三者とは保護するに値する善意の第三者でなくてはならないので、重過失ある第三者は悪意と同義とみなすべきであり、無重過失であることが必要とされると解釈するのが妥当である。

 

3.本問について、Cが甲会社専務取締役の肩書で行動していることから、@外観の存在を認めうる。また、常日頃Cがその肩書を使用していたことから、A,B,Dが全く知らなかったとは考えづらく、この帰責性については黙示の承諾も含むため、A会社の帰責性を認めうる。最後に、乙はCに代表権があると信じているので善意である。また登記を確認していないが、商取引において相手方の登記簿をいちいち確認することは取引の迅速性を害するため重過失とまでは言えない。よってB第三者の善意も認められ、3つの要件を満たすので262条が適用されることになる。

 

4.以上のことから、262条が適用されるため、甲会社は乙についてCが代表権を持たないことを主張できず、当該契約について責任を負わなければならないと解する。

 

 

 

 

 

自己採点:70点

感想:典型論点だったので答案構成にあまり時間がかからず、40分くらいで終わりました。

講師による採点講評はこちら



第十問 答案用紙

(商法2問目)

ハンドルネーム

るー坊

問1 (20行)

1.新株発行とは、会社が成立後に資金調達を目的として株式を発行することをいう(280条の2)。新株発行は人的物的組織の拡大を伴うため、既存株主は支配面、経済面において不利益を被る恐れがある。すなわち、新株を引き受けない場合、発行済株式数は増加するが自分の持ち株は変わらないので相対的に持ち株比率が低下し議決権行使の影響力が低下するという支配面における損失を被る恐れがある。また、発行済株式数が増加するため一株あたりの利益配当率が低下し、発行価額によっては株価の下落という経済的損失を被る恐れがある。しかし、商法は機動的な資金調達という会社の利益を重視して、新株発行は原則として取締役会決議によることとした(280条の2、但し280条の5の2)。これにより株主は原則として新株発行について関与しないこととされたので、商法は株主の利益を保護するための方法の1つとして新株発行の差止、無効を法定している。

 

2.新株発行の差止(280条の10)とは、新株発行の効力が発生する前に、株主が不利益を被る恐れがある場合、その利益を保護するために発行の差止を請求するものである。これは効力が発生する前であるので、引受人の保護などの取引の安全に配慮する必要はなく、一般原則により、いつでも誰でもどのような方法によっても主張ができる。ただし新株発行の効力発生前であることが必要である。

 

3.新株発行の無効(280条の15)とは、新株発行の効力が発生した後に、その発行手続や発行内容に瑕疵が存在する場合に、株主の利益を保護するために発行の無効を請求するものである。これは効力が発生した後であるので、取引の安全に配慮する必要がある。すなわち、新株発行を前提として様々な法律関係が既に形成されているので、無効の主張方法を制限する必要があり、効力が発生してから6ヶ月以内に株主、取締役、監査役に限り、訴えのみをもって主張することができる。

 

 

問2 (20行)

1.新株発行の差止も無効も、上述のように株主の利益を保護することを目的として行われる。しかし、差止が新株発行の効力発生前に行われるのに対し、無効は効力発生後に行われることから、その差止事由と無効原因には違いが生じる。

 

2.新株発行の差止事由とは、@会社が法令または定款に違反し、または著しく不公正な方法によって株式を発行し、Aそれによって株主が不利益を受ける恐れがある場合という要件が必要である。差止は効力発生前の段階であるから、取引の安全に考慮する必要がないため、なるべく広く差止事由を認めている。すなわち、法令または定款に違反以外にも著しく不公正な方法という要件を認め、その適用範囲を広く解釈することにより、株主が権利行使をしやすくしている。効力発生前であることに加え、さらに悪意の株主については担保の提供を求めることにより(280条の16、249条)提訴権の濫用を防止できるので、広く差止事由を認めても差し支えないのである。

 

3.これに対して新株発行の無効原因は明文の規定がないため、その範囲についてどう解釈するかが問題となる。これについて、新株発行の効力発生後であること、また事前に新株発行の差止が認められていることを考慮すると、無効原因は狭く解釈すべきだと考える。すなわち、新株発行の差止が認められているにも関わらず無効が規定されていることを考えると、無効とは、新株発行についての開示(280条の3の2)がなされず株主が事前に権利行使の機会を得られなかった場合や新株発行差止の仮処分が無視されて新株を発行した場合など、新株発行の差止請求ができなかった場合にこれを担保するものと解すべきである。また、このように狭く解することによって、取引の安全を考慮すべきという考えとも整合性のあるものとなる。

 

自己採点:50点

感想:問1は明らかにバランスが悪くなってしまいました。書きながらバランスの悪さに気づきつつ、時間がないのでそのまま続行しました。問2は答案構成に時間がかかりました。

 

講師による採点講評はこちら


 

TOP > 再現答案 > るー坊 商法
公認会計士試験に合格するための勉強法 CPA-LAB