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公認会計士試験に合格するための勉強法 CPA-LAB

2005年 公認会計士試験 再現答案 商法

第九問 答案用紙

(商法1問目)

ハンドルネーム

スライム

39行)

一、1.当問では、乙が直接に契約を締結した取締役Cは実際に代表取締役として登記されず、Aのみが代表取締役として登記されているに過ぎない。そのため、Cの業務執行行為による法律関係は甲株式会社に帰属しているとは考えられないため、原則論では甲株式会社と乙の間には法律関係は存在せず、甲株式会社は乙に対して、当該取引に関する責任を負う必要がないとも考えられる。

 

 2.ただ、Cは常日頃から「専務取締役」と名乗るなどしていたため、会社内部に関して詳細な事情を知らない乙のような第三者はそのような状況下では、Cに代表権があると信じて甲株式会社と取引をせざるをえないというのが通常である。そのため1の原則論に照らすと取引の安全を害してしまう。

 

二、1.そこで商法262条が問題となる。262条とは、本来代表権を有していないが、会社の代表権を有すると認められる名称を有している取締役の業務執行行為に対して、行為の相手先の第三者が善意の場合は当該会社が第三者に対して、責任を負う必要があることを示す。その制度趣旨は上記一、2.で挙げたように、第三者の取引の安全を保護する必要があることがあげられる。

 

 2.しかし、262条による会社の責任が生ずるためには、次の3つの適用要件をすべて満たす必要がある。すなわち適用要件として、@取締役が代表権を有すると認められるであろう外観を有していること、A当該取締役がそのような外観を有していることに対して会社に帰責性が生じていること、B当該取締役が代表権を有していると信じていること、の3つである。

 

 3.この適用要件を当問のケースにあてはめて考えると、@外観性については、Cは常日頃から甲株式会社の「専務取締役」として行動していた以上、その要件は当然あると考えられる。また、A会社の帰責性については、正式に代表権を有していないのに常日頃Cが代表権を有するかのような名称を付していた以上、本来なら他の取締役は取締役会を招集する(259条の3)などして会社側からそのような名称を付すことを止めさせる必要があり、その意味で会社側に帰責性があるといえる。B第三者の信頼性として、問題文中より乙はCに代表権があると信じているとの旨があるから、その要件は満たされるといえる。よって上記より当問では262条により当然にして甲株式会社は乙に対して表見代表取締役Cの業務執行行為に関して、乙に対して責任を負う必要があると考えられるはずである。

 

三、1.ただ次に問題となるのは、甲株式会社は登記簿上、Aのみを代表取締役として登記し、Cは代表取締役として登記されていないため、第三者たる乙の当該事項に関する悪意が擬制され(12条)、甲株式会社は乙に対して、Cは代表取締役でないことを理由に乙に対して責任を負う必要がないと主張できるとも考えられる。すなわちここで12条と262条の関係が問題となる。

 

 2.この点、私は262条が12条の例外規定であると解すべきであると考える。すなわち、262条は会社にとって第三者の取引の安全をはかる趣旨がある以上、第三者が会社と取引をするたびに代表権を有するであろう人物が真実の代表権を有しているかどうかに関して、登記簿を閲覧するなどして一々チェックことは現実的ではないと考えられるからである。

 

 3.そこで当問のケースに当てはめていくと、第三者たる乙は12条よりもまず262条を優先させることにより、上記262条の3つの適用要件が満たされている以上、保護されるべき対象であるといえ、その結果、甲株式会社は乙に対して、当該契約について責任を負わなければならない。

                                          以上。

自己採点:65点

感想:模範解答と比較すると@黙示の許諾、A乙の重過失の有無について抜けていました。第九問は多くの受験生が精度の高い答案を書いてくるだろうことが予想されるので上の2論点を書いておきたかったと今思っています。よく商法では6割が基準点とされているとの話を耳にするので6割+αいってて欲しいのですが・・・・・、どうでしょうかね?


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第十問 答案用紙

(商法2問目)

ハンドルネーム

スライム

問1 (20行)

一、1.新株発行とは、株式会社が会社成立後に主に資金調達を目的として新しく株式を発行することをいう。株式会社では経営の合理化の観点から、いわゆる所有と経営が分離され(254条2項)株主側は会社の基本的重要事項を株主総会において意思決定するに止まり(230条の10)、会社の業務執行は経営の専門家たる取締役・代表取締役に委任されている(260条・261条)。

 

 2.その結果取締役側は業務執行に関する権限が当然大きくなり、例えば、取締役が自らに賛同する派の勢力拡大をはかるためにその派に対してのみ通常より著しく安価に新株を発行するなど、本来の目的である資金調達以外の目的により自由に取締役側が新株を発行できる環境下にあるといえる。よって旧株主は上記の取締役の行為により、株主総会での自身の持分比率の低下や、特に第三者に著しく有利な発行価額で新株発行した場合は、株価の低下など経済的利益を害する恐れがある。ただ商法上は資金調達を優先する公開会社では株主への特別な保護規定はない。そこで当該株主を保護する必要がある。

 

二、1.そこで株式会社では取締役の本来の目的を逸脱した新株発行を止める・あるいは無効にするために新株発行の差止め・無効の規定が存在する。まず、新株発行の差止めとは、取締役が法令または定款に違反し、または著しく不公正な方法で新株を発行し、その結果不利益を受ける恐れがある株主は事前に当該取締役に対し新株発行を止めさせることをいう(280条の10)。具体的な主張方法として、当該株主はいつでもどんな方法でも差止めを主張できる。なぜならこの時点では、何ら法律関係は生じていないためである。

 

 2.一方で新株発行の無効とは、取締役が新株発行後に新株発行の無効原因が生じた場合に事後的に新株発行の効果を否定することをいう(280条の15)。具体的な主張方法として、株主・取締役・監査役に限り、訴えをもってのみ無効を主張できる。なぜならこの段階では、すでに新株発行に関する法律関係が多数存在していると考えられるため法律関係の画一的確定・安定をはかるためである。

 

 

 

 

 

問2 (20行)

一、1.新株発行の差止事由と無効原因の第一の相違点とは、差止事由があくまで取締役が新株を発行する前の時点に生じた事項であるのに対して、無効原因は取締役が新株を発行した後の時点に生じた事項であることである。すなわち、新株発行の差止事由があくまで事前措置によるものであるためこの時点では何ら法律関係は生じていないのでより広く捉えるべきだが、一方で、無効原因は事後措置によるものであるためにこの時点で法律関係が少なからず生じているので、法律関係の画一的確定や安定をはかるためにより狭く厳密に捉えるべきである。

 

 

 

 

 

 

 

自己採点:30点

感想:第十問は新株発行の差止めと無効についての問題でした。この問題は単なる比較問題で難易度は高くないようですが・・・・・、ここの論点の対策が手薄になっていたのか正直全然かけませんでした。

特に問2の出来は最悪でしょう。試験終了後も茫然自失という感じでした。まわりでは商法はシンプルで高得点も可能であるというような話を聞いて更に憂鬱になっていた記憶があります。

 

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