▼ 2008/12/07(日) (合格体験記)論文対策
第四 論文対策
1 短答受験者と短答免除者の差-現実の厳しさ
TAC全答練は、短答受験者・短答免除者・科目免除者といった属性ごとに成績分布を発表します。みごとに、短答受験者<短答免除者<科目免除者という序列になっています。
確かに、TAC全答練2回目は、短答合格発表の直後にあり、短答受験者にはかなり厳しい日程になってしまっているためだともいえそうですが、実際の本試験の合格率も、この序列になってしまっています。これは、厳然たる現実です。監査法人で多くの合格者と知り合うことになりましたが、科目免除者・短答免除者は想像以上に多いです。
しかし、現実だからと言って、一発合格しなくていいわけがありません。現実を受け止めた上で、一発合格することを考えなければならないのです。
私は、そのような現実を知っていたため、論文全答練で成績を取ること自体はあきらめました。もちろん、良い成績をとれればベストですが、短答免除者と短答受験者では条件が違いすぎるので、無理な目標になってしまうからです。
そのような事情から、論文全答練で成績を取ることは目標にせず、短答の模擬試験で論文合格に必要十分な成績を取ることを目標にしました。そのうえで、全答練・公開模試の成績が関係ないと言い切れるだけの勉強をすればいいのだと思います。
ここでも言いたいことは、短答受験者は、短答免除者に対して非常に大きな差をつけられているため、普通にやっているだけでは非常に厳しいということです。
2 私のこだわり
(1) 早朝のステップ・アクセスにこだわる
話は変わりますが、私がこだわっていたことの一つとして、「早朝の」ステップがあります。答練を受け続けること自体は、受講生としてお金を払っている以上当然のことなのですが、あえて「早朝」で受け続けました。
それは、一年を通じての達成感が欲しかったし、達成可能な目標だったからです。やや自己満足なところもありますが、早朝のステップを受験したことで、勉強時間を増やすことが可能になったと思います。
私の成績開示結果を見る限り、計算科目について早朝ステップの成果は現れませんでした。しかし、早朝に起きるという習慣は、非常に重要になることがあります。たとえば、仕事をしながら他の勉強をしたいという場合、夜では疲れてしまうし、勉強のリズムが不規則になります。したがって、朝早く起きて勉強する必要があります。
(2) 民法選択-多数派の位置づけに巻き込まれるな!
民法選択の優位性はブログで紹介済みですが(短期集中学習が可能、試験範囲が客観的、会社法等との関連性、法文参照できて暗記量が少ない、白紙の危険が少ない)、とくにここで強調しておきたいのは、マイナー科目であるがゆえに多数派のなかでの位置づけに巻き込まれなかったと言うことです。
実際に、公開模試・全答練の成績と本試験の成績はかなり比例しているように思われます。そうなると、経営学を選択していた場合、多数派の中の位置づけが、そのまま本試験に影響してしまいます。短答受験者が全答練・公開模試で苦戦し、論文試験の合格率においても苦戦することは公表データによってはじめからわかっています。
したがって、短答受験者としては、多数派の位置づけに組み込まれることは可能な限り避ける必要があります。
この点、民法を選択していた場合、多数派の中での位置づけを引き継ぐのは7分の6で、少なくとも7分の1に関しては逆転の余地があると言うことになります。
それから、もうひとつ気づいたことですが、民法を選択すれば、運に左右されたり、所属予備校に左右されることがなくなり、結果を謙虚に受け止めることができます。
他の「賢い人」の成績開示によると、経営学の偏差値が66.1で100番台だったそうですが、前年は経営学が原因で、総合得点率0.1未満の差で落ちています。真剣に勉強しているのであれば、所属予備校のせいで落ちるとか、知っているか知らないのかの差で落ちることはなんとしてでも避けたいと思うのが通常です。
もともとは、すでに、経営学・統計学を選択して短答も論文もうまくいっている人に対して、無理に民法選択を推奨するつもりはありませんでした。しかし、特に経営学の場合は、どこの予備校で学習していたかどうかで大きく得点が変動し、知っている問題が出れば高得点で二桁順位合格、知らない問題が出ればお手上げで0.1未満の差で落ちるというようなかたちになるので、合否が運に左右されやすくなるようです。
したがって、やはり、運に左右されず、未知の出題があったとしても大失点を避けることのできる民法を選択することが賢明であると改めて感じました。
(3) 過去問-試験委員の要求水準と現実の合格水準を知る
TACも大原も、たくさんの良問を提供してくれます。しかし、これらの問題が良問とは言っても、知識を増やすのに良問というだけです。
これに対して、過去問は、試験委員が、公認会計士試験(または二次試験)の目的に照らして、作成されています。そして、予備校の問題とは異なり、絶対的な解答は存在しません。限度はありますが、いろいろな解答がありえます。複数の予備校の解答速報や解説を見比べると、本当に面白いです。
また、試験委員は、間違いなく、過去問を参考にして問題を作っています。過去問に出題されたから今年は出題しないというのもあるかもしれませんし、過去問に出題して、大きく差がついたから再び出題してみようということもありえます。論点こそ違っても、ヒントの与え方が共通していることもあります。
そして、それを各予備校がいろいろな角度から分析しているのも面白いですが、最も参考になるのが、出題の趣旨(2005年から公表)とcpa-lab再現答案だと思います。出題の趣旨は、出題者が要求する理想の水準であり、再現答案は、合格者の現実の水準です。が、合格者といっても、私の監査論の第1問のように、全受験生の中でも再開に近い答案もあります。また、科目合格に達していなくても、相当上位の評価を受けている大問もあります。
過去問について出題者が要求する水準・方向性と、現実の水準を知ってしまえば、試験委員のニーズにあった方向性で勉強できることになります。そうなると、予備校の問題だけをやっている優秀者との差を大きく縮め、追い越すことができるかもしれません。
なお、過去問を本気で解く作業からは、得られるものが大きい反面、結構大変な作業ですし、時間もかかります。特に、計算科目の過去問を解くのは大変な労力がかかります。その観点からは、過去問の量が多い経済学を選択するのは得策とはいえません。おそらく、財務(簿記)と管理(原価計算)の過去問を解くよりもはるかに大きな労力が必要です。他方で、過去問が少ない統計学を選択することも、長期的な過去問分析をすることによって試験委員のニーズを把握することが困難なためよろしくないと思います。
(4) 白紙を作らない-1点でもおおくもぎ取る
白紙は、どんなことがあっても0点です。たとえば、過去の本試験で、問題に不備があって、全員に一律加点をすることがあったそうですが、そのような場合でも、白紙の答案には加点がされなかったようです。TACの全答練では、ビッシリ書いても0点になることがありますが、だからといって、本試験でも0点になるとは限りません。点数が来るかどうかは、自分が決めることでも、TAC講師が決めることでもありません。試験委員が決めることです。とはいっても、私の素点結果を見る限り、「書き賃」は期待すべきではありません。
また、極端に分量の少ない答案も、良くないと思います。出題者は、解答に必要な分量の解答欄を与えているわけですから、「その分量で書きなさい」という指示に反することになります。それに、極端に分量が少ないと、「簡潔」というよりは「何かが足りない」というような予断を与えることになり、あら探しをされる可能性があります。
私は、余計なことであっても「書かない」よりは「ちょっとだけ書く」ほうがマシだと考えています。だいたい、「書く」か「書かない」かを迷うような場合、正常な判断ができない状況に陥っています。そのようなときに「書かない」と判断したことが誤っていれば、その部分の得点を失います。これに対して、余計なこととはいえ「ちょっとだけ書く」場合、仮にその判断が誤っていたとしても、スペースが狭くなって書くべきことが書きづらくなるだけで、印象は悪くなっても点数を失うことはないと思います。
(5) 試験委員の話を聞く-出題者の意向と現実を知る
出題の裏話や、採点の実情を本当に知っているのは、元試験委員しかいません。
その試験委員の裏話を聞くことのできる講演会を開催してくれる予備校は、大原(無料)とLEC(有料1000円)です。しかも、いずれの講演会も、ライブで参加すれば、元試験委員による講演だけでなく、直截質問することができます。大原の場合、受講生がマイクを持って、元試験委員に質問することもできます。札幌や小倉であれば、双方向のビデオでつながれており、画面を通じて会話をしながら質問をしている人もいました。LECは、紙に書いて質問する形式だったと思います。講演にかかわる内容が好ましいのかもしれませんが、実際にはどのようなことを質問してもかまいません。受講生がよい質問をすれば、元試験委員から重要な情報を聞きだすことができます。そして、その情報は、その受講生本人だけでなく、講演会を開催した予備校にとっても大きなメリットになります。
大原の場合、7月頃に、プランニングセミナーとセットで翌年目標の受講生を対象に元試験委員の講演会を行うのですが、論文直前の受講生こそ参加すべき内容だと思いました。
なお、このような講演会は、大原やLECの受講生でなくても、参加することはできますし、参加して、どんどんよい質問をすべきでしょう。
(6) 基本書主義について
試験委員の話をきくことと関連して、基本書(試験委員をはじめとする学者の書いた教科書)を使ったほうがいいのかについても考えたことがありましたが、民法・企業法は基本書を使い、それ以外は、持っているだけで結局使いませんでした。
基本書を使うことには、メリットもデメリットもあります。そのあたりをわきまえて使わないと、単に情報量が増えて、予備校のテキストも基本書も理解できないままになってしまうことになると思います。
まず、基本書のメリットですが、①一次的な情報であること(予備校テキストは基本書を参考にしているので二次情報です)、②著者の考え方・主張が一貫していて、その一貫した考え方・主張を手がかりに理解できること、③本試験のネタ本になっている可能性があること、です。
しかし、他方で、①予備校が上手くまとめているので、二次情報である予備校テキストのほうが理解しやすい、②基本書は、考え方・主張を一貫させるため、都合の悪いことは書かれておらず、網羅性に欠けること(受験生に対する配慮より、自説や師匠の説に対する配慮が優先されている。)、③試験委員が多いため、ネタ本を追い掛け回すと無限にやることが増えてしまう、というデメリットがあります。
このようなメリット・デメリットを考えると、会計学・監査論については、基本書を使うことにはメリットよりもデメリットのほうが多いと思います。予備校がテキスト・レジュメで上手くまとめてくれているので、あまり必要性を感じませんでした。また、基準の文言や結論の背景がベースになっているので、考え方どうこうの問題ではないような気がします。ネタ本を追い掛け回すことについても、非常に多いので自分でやるよりも講師に任せたほうが効率的です。
しかし、法律科目については、話が違います。法律分野の大学教授は、わかりやすいテキストを書く能力に秀でています。というより、わかりやすいテキストを書けるかどうかで、法科大学院の教育能力を判断されてしまうので、比較的受験生に対する配慮がなされています。また、法科大学院では双方向で授業が行われているため、法律分野の大学教授は、学生のレベル・学生の苦手分野というものをよく知っています。また、特に民法は試験委員が少ないので、ネタ本を追い掛け回してもそれほど負担になりません。企業法の場合も、学者同士の力関係がはっきりしているので、ネタ本を効率的に追い掛け回すことも不可能ではありません。
ただ、会計学・監査論でも「スタンダードテキスト」という本は、試験委員が共著で書かれているので、持っていても損はないかもしれません。岡本清先生の「原価計算」は、内容はとてもすばらしいのですが、あの分厚さと活字と価格設定は何とかならないのかと思いました。紙質を変えてもっと薄くなるようにして、価格設定を3500円以内に抑えるとか工夫して欲しいです。
(7) 全答練・公開模試の受け方
私は、全答練・公開模試できちんとした成績を残すことについてはあきらめていたのですが、受験の仕方については、徹底的にこだわりました。きちんとした成績を残せない以上、復習の仕方や受験の仕方にこだわらなければ、優秀者との差は縮まりません。
まず、TAC全答練についてです。かなり多くの受験生がTAC全答練を土日ではなく、平日受験するようです。しかし、私は、徹底的に、土日受験にこだわりました。
理由は、第一に、3日か2日かの違いです。平日受験をすれば、勉強時間が3日とられてしまいます。大原は統一日程で3日受験のみなので、TACでも3日間とられてしまったら、直前期に大きなダメージになってしまいます。しかも、大原生の場合、大原の日程自体が全答練を平日受験することを想定していないので、スケジュールがグチャグチャになります。
第二に、復習のタイミングの違いです。TACは、平日受験をすれば、試験終了直後に解答解説をもらうことができません。翌週の月曜日まで待たされます。そして、そんなに待ってしまっていては記憶が薄れてしまいます。これに対して、土日受験をすれば、試験終了直後に解答解説をもらうことができ、記憶が新鮮なうちに復習できます。全答練の解説講義は、受験生の出来をふまえたうえでの講義なので、解説講義を聴きながら相対的な位置づけを把握することもできます。
それから、もう一つのこだわりが、自分の答案をコピーすることです。TAC全答練にもきちんとした解説がありますが、自分の答案を見ながら解説を聞くのと、手元になくただ聞いているのだけでは、大きな違いがあると思います。コピーを持っていれば、それこそ講師に質問に行ったついでに答案を見てもらうことも可能です。自分の答案のコピーを見ながら解説講義を聴けば、かなり正確に相対的な位置づけを把握することができます。
次に、大原の公開模試についてですが、普段利用している校舎ではなく、あまり行かない校舎で受験することにこだわりました。
もし、大原の特定の校舎が、受験手続きを代行して、受講生のために連番号を取得しているのであれば、普段利用している校舎で公開模試を受験すべきでしょう。
しかし、本試験は知らない人と一緒に受験しなければなりません。周囲はいつものメンバーで、大原の当該校舎の講師が試験監督をしているような状況では、本試験のような雰囲気での受験とはいえません。
したがって、あまり行かない校舎で、知らない人と一緒に公開模試を受験するように心がけていました。
さらに、全答練・公開模試に共通することですが、解説講義は、DVDレンタルで受講した方が、時間が助かります。どういうわけか、TAC・大原とも、教室放映で休み時間が多すぎます。特に、大原は昼休みが長すぎます。休み時間なし、倍速で聞けば、1.5コマ分は勉強時間を生み出すことができます。ちなみに、TACはDVDブース無料で、大原はDVDレンタルは有料だったと思いますが、お金を払ってでも時間が欲しいと思い、DVDレンタルで倍速視聴しました。
なお、短答不合格だった場合に第2回論文全答練・公開模試を受験すべきかについて考えてみました。
確かに、翌年の一発合格者が公開模試や全答練を受験していないことを考えれば、短答不合格者が公開模試や全答案練習を受けることは必須ではないともいえそうです。実際に、大原のデータによるとほとんど受けてなさそうです。
しかし、短答不合格者の強みを活かす点からは受けるべきだと思います。理由は、論文受験生の母集団のなかでの位置付けがわかる数少ない機会だからです。論文試験が迫っていない分、いろいろと試すことができます。たとえば、企業法か監査論だけをひたすら勉強して、どこまでの成績が残せるのかも試すことができますし、特定の科目をまったく勉強せずに受験すれば、ヤマが外れた状態での自分の位置づけもわかります。
また、特に全答練の場合は、その年の問題は本試験で出題からはずされることが多いですが、十分な根拠を持って予想されているので翌年には的中する可能性があります。資料をもらうだけよりも実際に解いたほうが印象に残るのは明らかです。
そういうわけで、翌年の一発合格者が受験していないからこそ、短答不合格者は第2回全答練・公開模試は受験したほうがいいと思います。
(8) 上級の罠
私は、1年目がTACで2年目が大原でしたが、ひとつ大きな誤算がありました。それは、「上級」の講座選択です。
TACの場合、「上級」といっても、入門・基礎マスターから上がってきたばかりの人が半分以上いるため、夏上級・秋上級に関しては、きちんと丁寧に講義が行われます。いわば、「わかっていない人」が前提の講義になっています。
これに対して、大原は、入門生は最後まで入門生用の講義を受講することになり、受験経験者が「上級」の講義を受講することになっています。したがって、入門生用の講義をきちんとマスターしていることが前提になっており、きちんと網羅的に講義が行われていないような感じがしました。いわば、「わかっている人」が前提の講義です。
これは、TACから大原に変えようと思っている人に対する注意だけでなく、大原の入門生も注意すべき点です。つまり、大原の入門生は、入門生としてのカリキュラムからドロップアウトしてしまえば、不完全な実力(わかっていない人)のまま、翌年以降は上級生としての不完全なカリキュラム(わかっている人を前提としたカリキュラム)を永遠に受講させられることになってしまいます。
3 科目別戦略
(1) 企業法・民法・租税理論-民法の方法論を応用する
企業法は、答案構成の骨格を覚えることが重要だと思います。中身は二の次です。中身が多少まずくても「減点」ですみますが、骨格ができていなければ、配点のある部分について「減点」どころか「零点」になってしまいます。特に、適切な場合分けを要する問題では要注意です。
民法は、事案を把握して当事者の法律関係を分析し、条文に当てはめ、条文で解決できなかったら論点で論証(反対説、しかし批判、そもそも趣旨、従って自説。)を行い、問題文の指示に従って常識的な解決をするだけだと思います。そして、その事案解決の流れが、答案構成の骨格になります。
そして、この民法のやりかたは、租税法の事例問題にも応用できます(課税庁の見解、しかし批判、そもそも趣旨、従って納税者側の見解。)。もちろん、課税庁が有利な見解になっても、判例の結論に賛成しても反対してもどっちでもいいと思います。
なお、企業法で事例問題が出題された場合にも同じように応用できます。試験委員は、事例を出せば差がつくと言うことに気づき始めたようなので、民法のようなノリで企業法の答案を書かなければならないことになるかもしれません。
(2) 会計学、監査論―短答で頑張る。
このあたりの科目について、私には語る資格はありません。短答で可能な限り貯金をして、余力でいきましょう。せっかく配布される法令基準集と、問題文をフルに活用しましょう。
しかし、あまりにも法令基準集に頼りすぎるのも禁物です。意見書の内容や結論の背景、監査基準など、見なくても書くべきものについては、書けないとかなり低い評価になってしまいます。
あと、私は結果的には会計学でc評価を獲得できたのですが、会計学でc評価以上をとれるとかなり有利だと思います。ここからは推測でしかないのですが、①会計学がc、または②複数科目合格であれば、他にアシきり科目がない限りほぼ合格するような気がします。
なお、個人的な感想としては、インターンで行われるようなグループワークのケーススタディがとても勉強になると思いますが、リクルートの一環や内定承諾者対象として行われているため、残念なことに短答免除者しか参加できません。
私自身は、短答に合格していない人にも、こういうケーススタディへの参加を認めるべきだと思うので、いろいろなところで、「短答に合格していない人にも参加を認めるべきだ」ということを強く主張しています。
(3) ミスを気にしない
これも、科目別の対策とは関係ありませんが、私は、ミスノートを作ったりはしませんでした。ミスノートを作ってそのつど反省したとしても、新たなミスをしてしまうため、結局ミスを防ぐことはできないからです。また、ミスノートが増えすぎると、どれが大事なミスなのかよくわからなくなり、かえって注意力が散漫になってしまいます。
そもそも、なぜケアレスミスをしてはいけないのでしょうか? それは、ケアレスミスをすることによって、合格ラインを割り込むことがあるからなのです。そうだとすれば、ケアレスミスを防ぐという不可能なことに挑戦することよりも、ミスをしても合格ラインを割り込まない実力をつけることのほうが、実行可能であるし、よほど有意義だと思います。
そして、ミスをしてもいいんだというように気楽に構えていれば、結局のところは安心することができるため、ミスが減るように思います。
ただ、絶対にしてはならないミスはもちろんあります。それは、「受験番号に関するもの」と「答案用紙の取り違えに関するもの」です。受験番号に関しては、書かなければ0点です。また、答案用紙に関しては、ほとんどの科目ではありえないことだと思いますが、民法の場合は、同じような答案用紙が4枚なので、きちんと確認しなければミスしてしまいます。企業法についても、小問数が同じ場合は、取り違えの危険は十分にあります。この2つのミスに関しては、最大の注意を払ってください。
4 重要な注意点
私は、短答に関しては、上位合格することを常に意識していたのですが、論文に関しては上位合格をあまり意識してきませんでした。実際、当時の学習記録を見返しても、論文の上位合格を意識した記述は見当たりません。
もちろん、短答前であれば、短答合格に必死だったこともあって、論文の上位合格を考える余裕がなかったせいかもしれませんが、短答後も、監査法人の説明会で短答免除者のお話をきいていたためか、短答合格だけで就職できて、仕事をしながら合格して、実務補習所の短縮制度を利用すれば、修了試験・公認会計士登録のタイミングは遅れないと考えていました。
しかし、当時の私のような考え方は、絶対にしないでください。
第一に、2009年以降、短答免除だけで本当に就職できるかどうかはわからないからです。TACキャリアサポートセンターによると、短答免除による就職(合格を条件としない内定)は、全答練超上位者に対するオマケのようなものらしいです。
第二に、仮に就職できたとしても、補習所は2年目に通うことになりますが、2年目の監査業務の質・量を考えると、補習所の1年目と両立できるかどうかがわからないからです。おそらく、補習所の1年目と監査法人の1年目の業務との両立は考慮されているとは思いますが、監査法人の2年目との両立には配慮されていないと思います。
第三に、試験にケアレスミスやド忘れはつきものだからです。前述の「ミスを気にしない」というのも、ミスをカバーできるだけの実力があることが大前提です。また、私の監査論のド忘れも、それさえなければ、総合得点率は54ほどになり、1500位~2000位で合格できたことになります。あのド忘れで1000人~1700人に抜かれてしまったことになるわけですから、本当に恐ろしいというしかありません。
たまたま運よく、ド忘れで1000人以上に抜かれても生き残ることができましたが、私の最も反省しなければならない点を挙げるとすれば、当時の甘い考え方だと思います。
1 短答受験者と短答免除者の差-現実の厳しさ
TAC全答練は、短答受験者・短答免除者・科目免除者といった属性ごとに成績分布を発表します。みごとに、短答受験者<短答免除者<科目免除者という序列になっています。
確かに、TAC全答練2回目は、短答合格発表の直後にあり、短答受験者にはかなり厳しい日程になってしまっているためだともいえそうですが、実際の本試験の合格率も、この序列になってしまっています。これは、厳然たる現実です。監査法人で多くの合格者と知り合うことになりましたが、科目免除者・短答免除者は想像以上に多いです。
しかし、現実だからと言って、一発合格しなくていいわけがありません。現実を受け止めた上で、一発合格することを考えなければならないのです。
私は、そのような現実を知っていたため、論文全答練で成績を取ること自体はあきらめました。もちろん、良い成績をとれればベストですが、短答免除者と短答受験者では条件が違いすぎるので、無理な目標になってしまうからです。
そのような事情から、論文全答練で成績を取ることは目標にせず、短答の模擬試験で論文合格に必要十分な成績を取ることを目標にしました。そのうえで、全答練・公開模試の成績が関係ないと言い切れるだけの勉強をすればいいのだと思います。
ここでも言いたいことは、短答受験者は、短答免除者に対して非常に大きな差をつけられているため、普通にやっているだけでは非常に厳しいということです。
2 私のこだわり
(1) 早朝のステップ・アクセスにこだわる
話は変わりますが、私がこだわっていたことの一つとして、「早朝の」ステップがあります。答練を受け続けること自体は、受講生としてお金を払っている以上当然のことなのですが、あえて「早朝」で受け続けました。
それは、一年を通じての達成感が欲しかったし、達成可能な目標だったからです。やや自己満足なところもありますが、早朝のステップを受験したことで、勉強時間を増やすことが可能になったと思います。
私の成績開示結果を見る限り、計算科目について早朝ステップの成果は現れませんでした。しかし、早朝に起きるという習慣は、非常に重要になることがあります。たとえば、仕事をしながら他の勉強をしたいという場合、夜では疲れてしまうし、勉強のリズムが不規則になります。したがって、朝早く起きて勉強する必要があります。
(2) 民法選択-多数派の位置づけに巻き込まれるな!
民法選択の優位性はブログで紹介済みですが(短期集中学習が可能、試験範囲が客観的、会社法等との関連性、法文参照できて暗記量が少ない、白紙の危険が少ない)、とくにここで強調しておきたいのは、マイナー科目であるがゆえに多数派のなかでの位置づけに巻き込まれなかったと言うことです。
実際に、公開模試・全答練の成績と本試験の成績はかなり比例しているように思われます。そうなると、経営学を選択していた場合、多数派の中の位置づけが、そのまま本試験に影響してしまいます。短答受験者が全答練・公開模試で苦戦し、論文試験の合格率においても苦戦することは公表データによってはじめからわかっています。
したがって、短答受験者としては、多数派の位置づけに組み込まれることは可能な限り避ける必要があります。
この点、民法を選択していた場合、多数派の中での位置づけを引き継ぐのは7分の6で、少なくとも7分の1に関しては逆転の余地があると言うことになります。
それから、もうひとつ気づいたことですが、民法を選択すれば、運に左右されたり、所属予備校に左右されることがなくなり、結果を謙虚に受け止めることができます。
他の「賢い人」の成績開示によると、経営学の偏差値が66.1で100番台だったそうですが、前年は経営学が原因で、総合得点率0.1未満の差で落ちています。真剣に勉強しているのであれば、所属予備校のせいで落ちるとか、知っているか知らないのかの差で落ちることはなんとしてでも避けたいと思うのが通常です。
もともとは、すでに、経営学・統計学を選択して短答も論文もうまくいっている人に対して、無理に民法選択を推奨するつもりはありませんでした。しかし、特に経営学の場合は、どこの予備校で学習していたかどうかで大きく得点が変動し、知っている問題が出れば高得点で二桁順位合格、知らない問題が出ればお手上げで0.1未満の差で落ちるというようなかたちになるので、合否が運に左右されやすくなるようです。
したがって、やはり、運に左右されず、未知の出題があったとしても大失点を避けることのできる民法を選択することが賢明であると改めて感じました。
(3) 過去問-試験委員の要求水準と現実の合格水準を知る
TACも大原も、たくさんの良問を提供してくれます。しかし、これらの問題が良問とは言っても、知識を増やすのに良問というだけです。
これに対して、過去問は、試験委員が、公認会計士試験(または二次試験)の目的に照らして、作成されています。そして、予備校の問題とは異なり、絶対的な解答は存在しません。限度はありますが、いろいろな解答がありえます。複数の予備校の解答速報や解説を見比べると、本当に面白いです。
また、試験委員は、間違いなく、過去問を参考にして問題を作っています。過去問に出題されたから今年は出題しないというのもあるかもしれませんし、過去問に出題して、大きく差がついたから再び出題してみようということもありえます。論点こそ違っても、ヒントの与え方が共通していることもあります。
そして、それを各予備校がいろいろな角度から分析しているのも面白いですが、最も参考になるのが、出題の趣旨(2005年から公表)とcpa-lab再現答案だと思います。出題の趣旨は、出題者が要求する理想の水準であり、再現答案は、合格者の現実の水準です。が、合格者といっても、私の監査論の第1問のように、全受験生の中でも再開に近い答案もあります。また、科目合格に達していなくても、相当上位の評価を受けている大問もあります。
過去問について出題者が要求する水準・方向性と、現実の水準を知ってしまえば、試験委員のニーズにあった方向性で勉強できることになります。そうなると、予備校の問題だけをやっている優秀者との差を大きく縮め、追い越すことができるかもしれません。
なお、過去問を本気で解く作業からは、得られるものが大きい反面、結構大変な作業ですし、時間もかかります。特に、計算科目の過去問を解くのは大変な労力がかかります。その観点からは、過去問の量が多い経済学を選択するのは得策とはいえません。おそらく、財務(簿記)と管理(原価計算)の過去問を解くよりもはるかに大きな労力が必要です。他方で、過去問が少ない統計学を選択することも、長期的な過去問分析をすることによって試験委員のニーズを把握することが困難なためよろしくないと思います。
(4) 白紙を作らない-1点でもおおくもぎ取る
白紙は、どんなことがあっても0点です。たとえば、過去の本試験で、問題に不備があって、全員に一律加点をすることがあったそうですが、そのような場合でも、白紙の答案には加点がされなかったようです。TACの全答練では、ビッシリ書いても0点になることがありますが、だからといって、本試験でも0点になるとは限りません。点数が来るかどうかは、自分が決めることでも、TAC講師が決めることでもありません。試験委員が決めることです。とはいっても、私の素点結果を見る限り、「書き賃」は期待すべきではありません。
また、極端に分量の少ない答案も、良くないと思います。出題者は、解答に必要な分量の解答欄を与えているわけですから、「その分量で書きなさい」という指示に反することになります。それに、極端に分量が少ないと、「簡潔」というよりは「何かが足りない」というような予断を与えることになり、あら探しをされる可能性があります。
私は、余計なことであっても「書かない」よりは「ちょっとだけ書く」ほうがマシだと考えています。だいたい、「書く」か「書かない」かを迷うような場合、正常な判断ができない状況に陥っています。そのようなときに「書かない」と判断したことが誤っていれば、その部分の得点を失います。これに対して、余計なこととはいえ「ちょっとだけ書く」場合、仮にその判断が誤っていたとしても、スペースが狭くなって書くべきことが書きづらくなるだけで、印象は悪くなっても点数を失うことはないと思います。
(5) 試験委員の話を聞く-出題者の意向と現実を知る
出題の裏話や、採点の実情を本当に知っているのは、元試験委員しかいません。
その試験委員の裏話を聞くことのできる講演会を開催してくれる予備校は、大原(無料)とLEC(有料1000円)です。しかも、いずれの講演会も、ライブで参加すれば、元試験委員による講演だけでなく、直截質問することができます。大原の場合、受講生がマイクを持って、元試験委員に質問することもできます。札幌や小倉であれば、双方向のビデオでつながれており、画面を通じて会話をしながら質問をしている人もいました。LECは、紙に書いて質問する形式だったと思います。講演にかかわる内容が好ましいのかもしれませんが、実際にはどのようなことを質問してもかまいません。受講生がよい質問をすれば、元試験委員から重要な情報を聞きだすことができます。そして、その情報は、その受講生本人だけでなく、講演会を開催した予備校にとっても大きなメリットになります。
大原の場合、7月頃に、プランニングセミナーとセットで翌年目標の受講生を対象に元試験委員の講演会を行うのですが、論文直前の受講生こそ参加すべき内容だと思いました。
なお、このような講演会は、大原やLECの受講生でなくても、参加することはできますし、参加して、どんどんよい質問をすべきでしょう。
(6) 基本書主義について
試験委員の話をきくことと関連して、基本書(試験委員をはじめとする学者の書いた教科書)を使ったほうがいいのかについても考えたことがありましたが、民法・企業法は基本書を使い、それ以外は、持っているだけで結局使いませんでした。
基本書を使うことには、メリットもデメリットもあります。そのあたりをわきまえて使わないと、単に情報量が増えて、予備校のテキストも基本書も理解できないままになってしまうことになると思います。
まず、基本書のメリットですが、①一次的な情報であること(予備校テキストは基本書を参考にしているので二次情報です)、②著者の考え方・主張が一貫していて、その一貫した考え方・主張を手がかりに理解できること、③本試験のネタ本になっている可能性があること、です。
しかし、他方で、①予備校が上手くまとめているので、二次情報である予備校テキストのほうが理解しやすい、②基本書は、考え方・主張を一貫させるため、都合の悪いことは書かれておらず、網羅性に欠けること(受験生に対する配慮より、自説や師匠の説に対する配慮が優先されている。)、③試験委員が多いため、ネタ本を追い掛け回すと無限にやることが増えてしまう、というデメリットがあります。
このようなメリット・デメリットを考えると、会計学・監査論については、基本書を使うことにはメリットよりもデメリットのほうが多いと思います。予備校がテキスト・レジュメで上手くまとめてくれているので、あまり必要性を感じませんでした。また、基準の文言や結論の背景がベースになっているので、考え方どうこうの問題ではないような気がします。ネタ本を追い掛け回すことについても、非常に多いので自分でやるよりも講師に任せたほうが効率的です。
しかし、法律科目については、話が違います。法律分野の大学教授は、わかりやすいテキストを書く能力に秀でています。というより、わかりやすいテキストを書けるかどうかで、法科大学院の教育能力を判断されてしまうので、比較的受験生に対する配慮がなされています。また、法科大学院では双方向で授業が行われているため、法律分野の大学教授は、学生のレベル・学生の苦手分野というものをよく知っています。また、特に民法は試験委員が少ないので、ネタ本を追い掛け回してもそれほど負担になりません。企業法の場合も、学者同士の力関係がはっきりしているので、ネタ本を効率的に追い掛け回すことも不可能ではありません。
ただ、会計学・監査論でも「スタンダードテキスト」という本は、試験委員が共著で書かれているので、持っていても損はないかもしれません。岡本清先生の「原価計算」は、内容はとてもすばらしいのですが、あの分厚さと活字と価格設定は何とかならないのかと思いました。紙質を変えてもっと薄くなるようにして、価格設定を3500円以内に抑えるとか工夫して欲しいです。
(7) 全答練・公開模試の受け方
私は、全答練・公開模試できちんとした成績を残すことについてはあきらめていたのですが、受験の仕方については、徹底的にこだわりました。きちんとした成績を残せない以上、復習の仕方や受験の仕方にこだわらなければ、優秀者との差は縮まりません。
まず、TAC全答練についてです。かなり多くの受験生がTAC全答練を土日ではなく、平日受験するようです。しかし、私は、徹底的に、土日受験にこだわりました。
理由は、第一に、3日か2日かの違いです。平日受験をすれば、勉強時間が3日とられてしまいます。大原は統一日程で3日受験のみなので、TACでも3日間とられてしまったら、直前期に大きなダメージになってしまいます。しかも、大原生の場合、大原の日程自体が全答練を平日受験することを想定していないので、スケジュールがグチャグチャになります。
第二に、復習のタイミングの違いです。TACは、平日受験をすれば、試験終了直後に解答解説をもらうことができません。翌週の月曜日まで待たされます。そして、そんなに待ってしまっていては記憶が薄れてしまいます。これに対して、土日受験をすれば、試験終了直後に解答解説をもらうことができ、記憶が新鮮なうちに復習できます。全答練の解説講義は、受験生の出来をふまえたうえでの講義なので、解説講義を聴きながら相対的な位置づけを把握することもできます。
それから、もう一つのこだわりが、自分の答案をコピーすることです。TAC全答練にもきちんとした解説がありますが、自分の答案を見ながら解説を聞くのと、手元になくただ聞いているのだけでは、大きな違いがあると思います。コピーを持っていれば、それこそ講師に質問に行ったついでに答案を見てもらうことも可能です。自分の答案のコピーを見ながら解説講義を聴けば、かなり正確に相対的な位置づけを把握することができます。
次に、大原の公開模試についてですが、普段利用している校舎ではなく、あまり行かない校舎で受験することにこだわりました。
もし、大原の特定の校舎が、受験手続きを代行して、受講生のために連番号を取得しているのであれば、普段利用している校舎で公開模試を受験すべきでしょう。
しかし、本試験は知らない人と一緒に受験しなければなりません。周囲はいつものメンバーで、大原の当該校舎の講師が試験監督をしているような状況では、本試験のような雰囲気での受験とはいえません。
したがって、あまり行かない校舎で、知らない人と一緒に公開模試を受験するように心がけていました。
さらに、全答練・公開模試に共通することですが、解説講義は、DVDレンタルで受講した方が、時間が助かります。どういうわけか、TAC・大原とも、教室放映で休み時間が多すぎます。特に、大原は昼休みが長すぎます。休み時間なし、倍速で聞けば、1.5コマ分は勉強時間を生み出すことができます。ちなみに、TACはDVDブース無料で、大原はDVDレンタルは有料だったと思いますが、お金を払ってでも時間が欲しいと思い、DVDレンタルで倍速視聴しました。
なお、短答不合格だった場合に第2回論文全答練・公開模試を受験すべきかについて考えてみました。
確かに、翌年の一発合格者が公開模試や全答練を受験していないことを考えれば、短答不合格者が公開模試や全答案練習を受けることは必須ではないともいえそうです。実際に、大原のデータによるとほとんど受けてなさそうです。
しかし、短答不合格者の強みを活かす点からは受けるべきだと思います。理由は、論文受験生の母集団のなかでの位置付けがわかる数少ない機会だからです。論文試験が迫っていない分、いろいろと試すことができます。たとえば、企業法か監査論だけをひたすら勉強して、どこまでの成績が残せるのかも試すことができますし、特定の科目をまったく勉強せずに受験すれば、ヤマが外れた状態での自分の位置づけもわかります。
また、特に全答練の場合は、その年の問題は本試験で出題からはずされることが多いですが、十分な根拠を持って予想されているので翌年には的中する可能性があります。資料をもらうだけよりも実際に解いたほうが印象に残るのは明らかです。
そういうわけで、翌年の一発合格者が受験していないからこそ、短答不合格者は第2回全答練・公開模試は受験したほうがいいと思います。
(8) 上級の罠
私は、1年目がTACで2年目が大原でしたが、ひとつ大きな誤算がありました。それは、「上級」の講座選択です。
TACの場合、「上級」といっても、入門・基礎マスターから上がってきたばかりの人が半分以上いるため、夏上級・秋上級に関しては、きちんと丁寧に講義が行われます。いわば、「わかっていない人」が前提の講義になっています。
これに対して、大原は、入門生は最後まで入門生用の講義を受講することになり、受験経験者が「上級」の講義を受講することになっています。したがって、入門生用の講義をきちんとマスターしていることが前提になっており、きちんと網羅的に講義が行われていないような感じがしました。いわば、「わかっている人」が前提の講義です。
これは、TACから大原に変えようと思っている人に対する注意だけでなく、大原の入門生も注意すべき点です。つまり、大原の入門生は、入門生としてのカリキュラムからドロップアウトしてしまえば、不完全な実力(わかっていない人)のまま、翌年以降は上級生としての不完全なカリキュラム(わかっている人を前提としたカリキュラム)を永遠に受講させられることになってしまいます。
3 科目別戦略
(1) 企業法・民法・租税理論-民法の方法論を応用する
企業法は、答案構成の骨格を覚えることが重要だと思います。中身は二の次です。中身が多少まずくても「減点」ですみますが、骨格ができていなければ、配点のある部分について「減点」どころか「零点」になってしまいます。特に、適切な場合分けを要する問題では要注意です。
民法は、事案を把握して当事者の法律関係を分析し、条文に当てはめ、条文で解決できなかったら論点で論証(反対説、しかし批判、そもそも趣旨、従って自説。)を行い、問題文の指示に従って常識的な解決をするだけだと思います。そして、その事案解決の流れが、答案構成の骨格になります。
そして、この民法のやりかたは、租税法の事例問題にも応用できます(課税庁の見解、しかし批判、そもそも趣旨、従って納税者側の見解。)。もちろん、課税庁が有利な見解になっても、判例の結論に賛成しても反対してもどっちでもいいと思います。
なお、企業法で事例問題が出題された場合にも同じように応用できます。試験委員は、事例を出せば差がつくと言うことに気づき始めたようなので、民法のようなノリで企業法の答案を書かなければならないことになるかもしれません。
(2) 会計学、監査論―短答で頑張る。
このあたりの科目について、私には語る資格はありません。短答で可能な限り貯金をして、余力でいきましょう。せっかく配布される法令基準集と、問題文をフルに活用しましょう。
しかし、あまりにも法令基準集に頼りすぎるのも禁物です。意見書の内容や結論の背景、監査基準など、見なくても書くべきものについては、書けないとかなり低い評価になってしまいます。
あと、私は結果的には会計学でc評価を獲得できたのですが、会計学でc評価以上をとれるとかなり有利だと思います。ここからは推測でしかないのですが、①会計学がc、または②複数科目合格であれば、他にアシきり科目がない限りほぼ合格するような気がします。
なお、個人的な感想としては、インターンで行われるようなグループワークのケーススタディがとても勉強になると思いますが、リクルートの一環や内定承諾者対象として行われているため、残念なことに短答免除者しか参加できません。
私自身は、短答に合格していない人にも、こういうケーススタディへの参加を認めるべきだと思うので、いろいろなところで、「短答に合格していない人にも参加を認めるべきだ」ということを強く主張しています。
(3) ミスを気にしない
これも、科目別の対策とは関係ありませんが、私は、ミスノートを作ったりはしませんでした。ミスノートを作ってそのつど反省したとしても、新たなミスをしてしまうため、結局ミスを防ぐことはできないからです。また、ミスノートが増えすぎると、どれが大事なミスなのかよくわからなくなり、かえって注意力が散漫になってしまいます。
そもそも、なぜケアレスミスをしてはいけないのでしょうか? それは、ケアレスミスをすることによって、合格ラインを割り込むことがあるからなのです。そうだとすれば、ケアレスミスを防ぐという不可能なことに挑戦することよりも、ミスをしても合格ラインを割り込まない実力をつけることのほうが、実行可能であるし、よほど有意義だと思います。
そして、ミスをしてもいいんだというように気楽に構えていれば、結局のところは安心することができるため、ミスが減るように思います。
ただ、絶対にしてはならないミスはもちろんあります。それは、「受験番号に関するもの」と「答案用紙の取り違えに関するもの」です。受験番号に関しては、書かなければ0点です。また、答案用紙に関しては、ほとんどの科目ではありえないことだと思いますが、民法の場合は、同じような答案用紙が4枚なので、きちんと確認しなければミスしてしまいます。企業法についても、小問数が同じ場合は、取り違えの危険は十分にあります。この2つのミスに関しては、最大の注意を払ってください。
4 重要な注意点
私は、短答に関しては、上位合格することを常に意識していたのですが、論文に関しては上位合格をあまり意識してきませんでした。実際、当時の学習記録を見返しても、論文の上位合格を意識した記述は見当たりません。
もちろん、短答前であれば、短答合格に必死だったこともあって、論文の上位合格を考える余裕がなかったせいかもしれませんが、短答後も、監査法人の説明会で短答免除者のお話をきいていたためか、短答合格だけで就職できて、仕事をしながら合格して、実務補習所の短縮制度を利用すれば、修了試験・公認会計士登録のタイミングは遅れないと考えていました。
しかし、当時の私のような考え方は、絶対にしないでください。
第一に、2009年以降、短答免除だけで本当に就職できるかどうかはわからないからです。TACキャリアサポートセンターによると、短答免除による就職(合格を条件としない内定)は、全答練超上位者に対するオマケのようなものらしいです。
第二に、仮に就職できたとしても、補習所は2年目に通うことになりますが、2年目の監査業務の質・量を考えると、補習所の1年目と両立できるかどうかがわからないからです。おそらく、補習所の1年目と監査法人の1年目の業務との両立は考慮されているとは思いますが、監査法人の2年目との両立には配慮されていないと思います。
第三に、試験にケアレスミスやド忘れはつきものだからです。前述の「ミスを気にしない」というのも、ミスをカバーできるだけの実力があることが大前提です。また、私の監査論のド忘れも、それさえなければ、総合得点率は54ほどになり、1500位~2000位で合格できたことになります。あのド忘れで1000人~1700人に抜かれてしまったことになるわけですから、本当に恐ろしいというしかありません。
たまたま運よく、ド忘れで1000人以上に抜かれても生き残ることができましたが、私の最も反省しなければならない点を挙げるとすれば、当時の甘い考え方だと思います。
▼ コメント(0件)